TOP > story > シミズの人 > プロフェッショナル5人のタッグで早期回復をサポート

洛西シミズ病院は整形外科治療に重点を置き、脊椎・脊髄外科、膝関節・股関節外科、肩の外科、手外科、足の外科といった領域ごとに専門医が常駐しています。当院108名のリハビリスタッフをはじめ医師や看護師などによる専門家チームが密接に連携を図りながら、積極的にリハビリテーションを行い患者さまの早期回復をサポートしています。

手外科の治療には、医師と作業療法士の連携がマスト

一人ひとりのニーズに合わせた装具製作も手掛ける

廣藤:シミズ病院グループ4病院1クリニックの整形外科では、運動器の外傷や疾患の治療を連携して行っています。当グループ整形外科にはさまざまな領域の専門医がいますが、私は手の専門の整形外科として手術・治療を行い、術後は作業療法士と連携してリハビリテーションを進めています。

手外科の手術治療で長期入院することはほとんどなく、むしろ自宅に戻ってから自分で術後のリハビリテーションを日々続けていくことが重要で、機能回復に大きな影響が出ると言っても過言ではありません。だからこそ、作業療法士との連携を重視しています。

西垣:手外科では術後早期に退院し、そこから通院でリハビリテーションを長期に進めていくことになります。帰宅後の生活で何がしたいのか、どんなことをできるようになりたいのか目標を立ててリハビリテーションを考えていく必要があります。

たとえばお仕事をされている患者さまなら、まずは日ごろどんな道具を使っているのか、作業内容はどんなものか、それ以外の生活の中でどのようなことをしなければならないのか、何に気をつけたらいいのか一人ひとりのニーズや希望を聞き取るところからはじめます。

また、手術前から医師と連携し、患者さまの職業や手を使う趣味の有無などを考慮して必要な装具を作る準備をします。実際にフィット具合を確かめながら、同時にリハビリテーションの内容も考えていきます。

廣藤:たとえば指を曲げにくい患者さまには曲げるための装具、反対に伸ばしにくい患者さまには伸ばすための装具が必要です。また、患者さまの回復度合いに合わせてリハビリテーションの内容も当然変化していきます。一人ひとり状況が異なるので、診察とリハビリテーションを重ねていく中で、作業療法士とは細かく情報を共有しながら対応していきます。

装具はリハビリテーションに欠かせないものですが、製作するには時間も手間もかかるので大変だと思います。当グループの作業療法士は、個別の患者さまに合わせて一つひとつ丁寧に作ってくれるので、本当にありがたいと感謝しています。

多くの専門医が在籍し、急性期から回復期、慢性期まで幅広く対応するシミズ病院グループ。治療に携わるスタッフは、必然的にさまざまな症例に取り組むことになります。作業療法士へ求められることは多岐にわたりますが、得ることの多い職場環境です。

医療現場だから叶う作業療法士のスキルアップ

身につけたスキルは、将来どこに行ってもいかせる

西垣:病院に勤務してよかったと思うのは、日々の業務の中で学ぶことが本当に多く、生きた知識を得て成長できることです。医療機関では、発症したばかりの方と向き合うことになるので、常に大きな変化(改善)を目の当たりにすることができます。動かなかった指が動くようになったり、できなかったことが少しずつできるようになったり、自分が関わったことでどんどん変化していく様子が見られます。患者さまから「動くようになりました!」と報告をもらったり、ちょっとした変化に喜んでいる患者さまの姿を見ると、こちらもすごく嬉しくてやりがいを感じます。

だからこそ、私たち作業療法士も技術や知識を常に学んでいかないといけません。医療の現場で学んだ技術や知識は、将来どんなところに行っても必ずいかせるはずです。介護施設にも医療的なケアが必要な方もいらっしゃいます。若い方には、まず医療現場で作業療法士としての技術を磨くことをおすすめします。

細やかなコミュニケーションで、リハビリ効果は高められる

西垣:リハビリテーションを進める上では、医師との連携は欠かせません。たとえば、私たちは術後すぐにリハビリテーションに取りかかりますが、「動かすのが怖い」「リハビリなんてしたくない」とおっしゃる患者さまも少なくありません。しかし、患部の腫れを引かせるには、動かすことも大切なのです。術後いかにリハビリテーションを行えるかが、機能回復にはとても重要なのです。

ですから、不安がる患者さまや気になる点がある患者さまのことはすぐに医師に相談し、「こういう動作は大丈夫ですよ」と細かく説明しながら安心してリハビリテーションに取り組んでいただけるよう心がけています。そのほか何か気になることがあれば、どんな些細なことでも私は医師に報告・相談しています。その結果、常に患者さまの状況を共有できますし、一人ひとりに合わせた細やかな対応ができると思っています。

廣藤:リハビリテーションがなければ回復を目指すことはできないので、作業療法士はなくてはならない大切な存在です。以前はリハビリテーションに必要な装具を一緒に作ったり、細かく指示したりもしていましたが、いつも自分なりに工夫して作成してくれるので、今では全面的に信頼してポイントだけ伝えてお任せすることも多いです。

西垣:廣藤先生からはさまざまな装具の依頼があり、四苦八苦しながら作成していますが、その信頼や熱意に応えられるようになりたい!と思うと、やる気が出ます。そして、常に新しい知識を取り入れて現場でいかせるように、今も月に一度は作業療法士仲間で集まって勉強会を開いたり、医師から指導していただいたりする機会を設けています。これからも日々勉強を重ねながら、患者さまの早期回復をサポートできるよう取り組んでいきたいです。

整形外科 部長
廣藤 真司

プロフィール

2000年大阪医科大学(現・大阪医科薬科大学)医学部卒業。2004年洛西シミズ病院で1年間勤務。その後、他病院での勤務を経て2016年博士号取得。2017年から洛西シミズ病院勤務。

資格・経歴

日本整形外科学会整形外科専門医

日本リウマチ学会リウマチ専門医

日本手外科学会認定専門医

医学博士

作業療法士

主任 西垣 三代子