老健施設の相談員として、
利用者・家族・地域をつなぐ架け橋に

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利用者・家族・地域をつなぐ架け橋に

介護老人保健施設シミズひまわりの里では、介護認定を受けた高齢者を対象に、食事・入浴ほか身の回りのお手伝いを通じて、在宅復帰を目的にした日常生活訓練や技能訓練士によるリハビリテーションを行っています。施設サービスには、一定期間継続した入所に加え、短期入所(ショートステイ)、通所リハビリテーション(デイケア)、訪問リハビリテーションがあります。また、認知症の方が安全に過ごせる認知症専門棟が2棟あり、医療ケアが必要な時には併設の洛西シミズ病院で迅速に受診できるなど、利用者さまやご家族に安心していただける環境が整っています。

知ってほしい相談員の仕事と役割、やりがい

シミズひまわりの里の“最初の窓口担当”として

介護老人保健施設の相談員の仕事というと、デスクワークや施設内での対応がメインとイメージされるかもしれませんが、実際は施設の外に出てさまざまな方とお会いし、話しながら調整を行うことが多い仕事です。

業務内容は多岐にわたり、入所・退所の相談・手続きから入所中の通院など、生活する上で必要なさまざまなことに関わります。一度きりの利用というよりは、退所後も継続してフォローすることがほとんどで、中には10年以上のおつきあいになる利用者さまもいらっしゃいます。また、地域のケアマネや病院スタッフとコミュニケーションをとりながら、空床が出ないように居室調整するのも業務の一つです。言葉にするとたくさんの業務が並びますが、ひと言で表すと「一人ひとりの利用者さまやご家族と向き合う仕事」だと思っています。

実際の業務は、利用者さまのご家族やケアマネ、近隣の病院の方などから入所相談をいただくところから始まります。まずはご自宅や病院に出向いて、現在の生活状況・療養状況やどのような介護を希望されているかご意向をうかがいます。その後、すぐに入所手続きに進むのではなく一旦施設に戻り、介護に直接関わるスタッフらと利用者さまの身体状況やご意向などの情報を共有し、施設に受け入れ可能か判定会議を開きます。会議では、ただ状況説明を行うのではなく、相互の思いをふまえて調整するのが相談員の役割です。そして、話し合いの結果、受け入れ可能となれば入所手続きに移ることになります。

入所準備段階には、利用者さまやご家族に、施設入所終了後に自宅に戻りたいのか他の施設に入所されたいのか、あるいはどのようなことをできるようになりたいのか、といった目標について具体的におうかがいします。例えば自宅に戻ることを希望された場合は、リハビリテーションを重ねた後、部屋を歩けるか、お風呂に入れるか、在宅で暮らすにはどのようなサポートが必要かなどを、地域のケアマネと連携して判断します。もし完全な自宅復帰が難しいと判断できた場合は、復帰後のショートステイ、訪問・通所リハビリテーションの利用など、一人ひとりの状況に合わせた介護サービスの提供についても調整していきます。

シミズひまわりの里の利用者さまにとって、相談員の私は、“最初の窓口担当”です。さまざまな対応や判断が求められますが、利用者さまやご家族に感謝されたり、地域のケアマネから「あなただから言うけど…」と相談を持ち掛けられるたびに、「とても頼りにされている」「積み重ねてきたことが信頼として返ってきている」とやりがいを感じています。

シミズひまわりの里では、施設内でのケアはもちろん、退所後にどのような生活を送れるかを大切に考えているため、ご家族、地域や他施設との連携にも力を入れています。その橋渡し役を担う相談員の仕事は、さまざまな専門知識に加え、コミュニケーション能力や調整スキルなどを自ずと身につけることができます。

「嬉しい」「楽しい」と共感できる時間を増やしていきたい

知識豊かな仲間に助言をもらいながら、自ら考え、成長できる

相談員は、さまざまなスタッフとの意見調整をする難しい立場に立たされることが多い半面、問題解決には周りとの連携が不可欠であるため、いろいろと教わる機会も多く、たくさんの専門知識を身につけることができます。例えば、介護保険の制度をよく理解していないと、よかれと思って提供したサービスが原因で、利用者さまの保険の範囲を超えてしまうことがあります。そうしたことが起こらないよう管理するのも相談員の業務の一環ですが、一人だけで管理しようとすると見逃すリスクは当然あります。その点、シミズひまわりの里には経験も知識も豊富なスタッフがたくさんおり、介護を担当するスタッフから「介護保険の範囲内なら、週に△回までならリハビリテーションができるよね」「こんなメニューなら大丈夫じゃないかな」など具体的な提案をもらえたり、意見を交わす機会も多く、自然に管理能力も高まっていく感じがしています。

実は以前、病院勤務の相談員の方が当施設にサポートで入られたときに、シミズひまわりの里の相談員の仕事を見て驚かれたことがあります。病院ではドクターが決定した治療方針に従って動くことが基本ですが、シミズひまわりの里ではスタッフ各人が利用者さまに適切な介護方法を考え提案し、スタッフ間で話し合いながら介護方針を決めて実行していきます。上手くいかなければ、常に話し合いながら改善していきます。日ごろから意見やアドバイスがもらいやすく、新しいことにチャレンジしやすい環境が整っています。

「利用者さまにとって何が一番よいのか」を最優先に

相談員の仕事は社会福祉士などの資格がなくても始められるので、人とコミュニケーションをとるのが好きな方や、自ら考えて行動する力を身につけたい方などは、やりがいを感じていただけるのではないかと思います。しかも当施設には、「スタッフ全員で利用者さまを支える」という意識を持った職員が多く、入居している方や一時利用の方、ご家族の皆さまなどの名前や顔もすぐに覚え、「〇〇さんの娘さんが来られたよ」と声をかけあったり、とても明るく温かな雰囲気だと思います。私は外に出て行う仕事を第一優先に考えているので、ご家族への連絡などの業務を別のスタッフに頼むことも少なくないのですが、外出から戻った際には「ご家族に伝えておいたよ」と声をかけてもらえます。周りのサポートが本当にありがたいと感じています。

相談員は、利用者さまやご家族の気持ちに寄り添うことが基本です。施設に空きがあっても、いつから利用できるのかという物理的な状況と、そこにいつから入るのかという利用者さまの心理的な状況は、必ずしも一致しません。それは施設を出るときに、自宅に戻るのか、別の施設に行くのか、という状況についても同じです。だからこそ、常に物事を多角的に見られるよう努めることが大切です。ただ、多くの人の立場に立って考えていると、何が正解なのか、何を優先すべきか判断に悩むことがあります。そんな時、私が一番に考えるのは「利用者さまにとって、何が一番よいのか」ということです。その軸さえブレずに持っていれば、きちんと自分の考えは伝えられるし、納得してもらえると考えています。ご希望通りにできないこともたくさんありますが、最初から「無理です」と断ることはしたくありません。全てを叶えられなくても、実現できることを考えて、周りのスタッフに相談しながら取り組んでいきたいと思っています。

シミズひまわりの里は、利用者さまが目指す生活スタイルを実現させるためのステップになる施設だと考えています。だからこそ、施設で過ごす利用者さまの日常の中に、嬉しい瞬間や楽しい瞬間があればいいと思いますし、そうした時間を増やしていきたいと思っています。そして、ご家族にも利用者さまの思いを共有して喜んでいただけたら嬉しいです。

相談員

主任 山﨑 絵美

資格・経歴

社会福祉士