ケアマネジャー(介護支援専門員。以後、ケアマネと表記)とは、介護を必要とする要介護者や要支援者、家族等からの相談を受け、心身の状況に応じたケアプランを作成し、市町村・サービス事業所・施設等と連携して介護サービスを調整する専門職です。
ケアマネの仕事で一番重要なのは、「介護相談」です
理想のケアプラン作成には、しっかりしたアセスメントが欠かせない

小川:シミズ居宅介護支援事業所の小川勝也と申します。もともと介護老人保健施設シミズひまわりの里に入職し、しばらく認知症専門棟で介護職員として働いていました。その時から、対人関係の築き方では、利用者さんに安心してもらえるような語りかけや、初対面でよい印象をもってもらえることが大事だと思っています。この人だったら話しやすいなという印象をまずは持ってもらえるように、笑顔でご挨拶することを基本にしています。また、自分自身のエピソードを披露して、良い関係性が生まれたこともあります。以前、私は大病をして体が不自由になった時期があり、リハビリテーションを受けて回復してきた経験があります。その話をしたら、利用者さんが「じゃあ、私もちょっと頑張ったら、動けるようになるかしら」と前向きな姿勢を見せられるようになったこともあります。

武内:亀岡シミズ居宅介護支援事業所の武内祐子です。気をつけていることは、「笑顔」や「約束事を守る」を大切にして、信頼される関係を築けるよう心がけています。例えば、「1時間後に電話しますね」って伝えたとしたら、必ず1時間後に電話するなど、小さな約束を守ることを続けることが本当に重要だと感じています。これは、ご家族に対しても同じです。また、利用者さんごとに生活リズムが異なりますので、朝が弱い方には朝早くの訪問はしないなど、相手の体調や希望に合わせた調整もとても重要だと思っています。

粟津:シミズふないの里居宅介護支援事業所の粟津裕子です。私は、介護保険制度が始まった翌年の2001年からケアマネの仕事に従事しています。当初ケアマネの認知度が低く、病院での情報収集も「守秘義務があるので答えられません」と断られることもたびたびありました。25年たった現在は、病院での聞き取りはスムーズになりつつありますが、利用者さんやご家族の本音・希望を引き出す「介護相談」は、いまだに難しく感じています。また、利用者さんの状態や状況を評価・分析して解決策を考えるアセスメントをした結果、仮に専門職としてリハビリテーションの必要性を感じたとしても、利用者ご本人やご家族の意思をまずは尊重して、押しつけずにすり合わせていくことを重視しています。そうした丁寧なプロセスを経て、ケアマネの次の仕事であるケアプランの作成に繋げていきます。
武内:ケアプランを作成するには、やはりアセスメントをしっかり行うことが基本ですね。私は、作成したケアプランを見れば、誰のものか分かるくらいに個別性を持たせられるかが、ポイントだと考えています。

粟津:武内さん、すごいですね。ケアプランを見ただけで、利用者さんの顔が浮かぶというのは理想的です。私の場合は、本人の意向だけでなく専門職としての視点も反映した、バランスの取れたケアプランの作成を心がけています。介護サービスだけでなく他のサービスを組み合わせ、例えば、通院が難しい場合は介護タクシーの利用も考えてみます。ご近所の見守りや、地域の事業を取り入れるケースもまれにあります。
ケアマネ業務を通じて得られるやりがい
喜びや悔しさ、もどかしさ全てが成長の糧になる
粟津:例えば、歩行器を1台レンタルしただけなのに、利用者さんの生活がパッと広がるようなケースがあります。週1回のデイサービス利用につなげただけで、生活が豊かになるケースがあります。そうした場面に立ち会えた時は、ケアマネ冥利につきますね。ある80歳の女性のケースでは、スーパーや病院がご自宅から少し離れた場所にあるため一人では行けず、ずっと家族の手を借りておられました。しかし、私の提案でシニアカーをレンタルしていただくと一人で行ける範囲が増えて、「一人で何処へでも行ける」と興奮気味に喜んでくださったのは印象的でした。

武内:85歳過ぎの男性が入院をされていて、最期を病院で迎えるか自宅に戻るかずいぶん迷われていました。そこで、ご家族と介護職員、訪問看護師、ケアマネでチーㇺを作り連携していくことで、1か月ほどでしたがご本人やご家族の納得がいく在宅看取りができました。その際にご家族から、「近い将来、私がもし介護サービスを必要になったら、このチームで世話をしてほしいわ」って言ってもらえた時、嬉しさがこみ上げてきました。
小川:終末期の利用者さんが退院して自宅に戻られ、第一声で「ちょっとほっとした」とおっしゃいました。そして、「ちょっとお酒飲みたいわ。ああ、ビー ル飲めへんかっ」という流れになりまして、ご家族とともに退院祝いの乾杯をし、笑いが生まれて和やかな雰囲気の中で信頼関係が深まったエピソードがあります。私は、お茶で乾杯しましたけど…(笑)。その後、利用者さんが嫌がっていた訪問サービスも、私が勧めるならと受け入れてくださいました。亡くなられた際も、ご家族から「最期はとても朗らかな顔をしていました」と報告を受け、あぁよかったなと思いました。

粟津:逆に辛かった経験ですが、精神疾患を持っておられた方が、向精神薬を服用して安定されていたのですが、次第に認知症状が出てこられました。しばらくすると、強い被害妄想が現れて、「預金通帳を持って行かれた」「お金を取られた」「もう来るな」と中傷する電話がかかってくるようになりました。その後は精神科の医師と連携し対応したのですが、いつから認知症状が進行して向精神薬が服用できなくなったのか境目に気づけず、いろいろ言われた辛さ以上に早い段階で気づけなかった反省の念にかられ、とても辛い経験となりました。もう何年もたっていることなのですが、いまだに当時の記憶が心の底に残っていて、今はその反省をケアマネ業務に活かそうと努力を重ねているところです。
武内:辛いことはすぐ忘れてしまう性格なので話がずれるのですが、今、ケアマネの資格更新の研修を受けていまして、仕事しながら研修時間を見出すのは結構大変です。何十時間も研修動画を視聴し、確認テストを行い、レポートを出す感じです。仕事や家事とも両立しなければならず、日々、戦っています(笑)。ただ、一人で悩むことはなく、亀岡シミズ居宅介護支援事業所の上司や先輩に相談させてもらえる環境が整っていますので、乗り越えていけると前向きに考えています。
小川:どうしても相談内容が家事や子育てに関わるケースが多く、独身男性の自分には経験を生かした十分な対応ができないところに、もどかしさを感じています。困ったら、経験豊富な先輩や同僚に相談して対応しています。
人生100年時代に納得のできる仕事を!
ケアマネは多職種と出会え、自分のレベルを向上できる
小川:ケアマネになる人には、社会人になった当初から介護の仕事に従事されていた方だけでなく、業種の違う仕事から転職してこられる方もいらっしゃいます。今までの経験を活かしながら、自分の知らないところは勉強しつつ頑張っていける職業だと思います。若い方には、今後20年、30年、ご自身の可能性をもっと伸ばしていってもらえたらなと思っています。

武内:私は、特養で介護業務を11年ほどした後にケアマネになったのですが、もっと早く転職していてもよかったなと感じています。介護職員の時代は「世界が狭い」と自分では感じていたのですが、ケアマネになってからはいろんな職種の人に出会えて、話せて刺激がもらえ、すごく面白いなと思っています。自分のレベルも上がる気がしますし、積極的に協力したいなと思えます。看護師の目線とか、医師の話とか、退院時のカンファレンスも面白いなと感じます。いろんな職種の人の目線の話が聞けるのは面白いし、勉強になり自身の成長に繋がると感じています。
粟津:人生100年時代になってきていますが、清仁会の場合、現在ケアマネは70歳まで働けます。介護職では、体力的にそんなに長く働くことは難しいと思いますが、ケアマネは仮に55歳から始めても70歳までは15年間もありますし、納得のできる仕事ができると思います。

粟津:ところで今回、特別に漫画『宇宙兄弟』とシミズ病院グループがコラボすることになりました。居宅介護支援事業所内では皆で情報を共有し、問題解決に向けた相談や提案を行いますので、チームで動く部分が宇宙を目指すクルーのストーリーと共通するかもしれませんね。
武内:『宇宙兄弟』は大好きなアニメで、ケアマネがチームとして動く点は漫画と共通すると私も感じています。登場人物の日々人(ヒビト)が困った時に、周囲の仲間がサポートする思いなどが印象深く、兄弟愛というテーマにも共感しています。当グループがコラボしてくれて、私は嬉しく元気をもらいました。
小川:『宇宙兄弟』のテーマとケアマネが関わる現実の世界とは異なるとは思いますが、共通するところがあるとすれば、私たちが担う業務も、直面した問題をどう克服するか挑戦の積み重ねで行っている点でしょうか。介護者として接していると、利用者さんの一つひとつの行動には必ず意味を持っておられることに気づきます。そこに焦点をあてながら、解決策を探る必要があります。そうして行った結果が、コラボで作成したポスターにある「自分のやっていることの“意味”を探す必要はない」「やったことの結果が誰かの“意味あること”になればいいんだ」に繋がるのかもしれません。

ケアマネは派手な仕事ではありません。けれど、人の人生の深いところに関わる、とても誇り高い仕事です。すぐに成果が見えるわけではありませんが、あきらめずに行う支援が、「誰かのもう一歩!」に繋がります。そばに寄り添うことで、「誰かの不安を少し軽く」できます。その瞬間にこそ、ケアマネは仕事のやりがいを感じ、次の日も現場に立つエネルギーを充電している気がします。

シミズ居宅介護支援事業所 ケアマネジャー
小川 勝也
資格
主任介護支援専門員、介護福祉士

亀岡シミズ居宅介護支援事業所 ケアマネジャー
武内 祐子
資格
介護支援専門員、介護福祉士

シミズふないの里居宅介護支援事業所 ケアマネジャー 係長
粟津 裕子
資格
主任介護支援専門員、社会福祉士、介護福祉士